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メンデルスゾーン 交響曲第4番 イタリア [音楽]

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Mendelssohn Symphony No. 4 in A Major (“Italian”)
The Cleveland Orchestra
Franz Welser-Möst, conductor
March 2017, Miami Knight Concert Hall

メンデルスゾーンの交響曲第4番は、空が桜色に染まる季節にふさわしい晴れやかな曲だ。今シーズンのマイアミ演奏会は、オールイタリアンプログラムで幕を閉じた。メンデルスゾーンをはじめ、ヴェルディのオペラから抜粋したバレエ曲、レスピーギのローマの松、いずれも佳い演奏だった。来季からマイアミレジデンシーは大幅に削減されるらしい。経営戦略上、やむを得ないのかもしれないが...残念すぎる。

ヴェルザー=メストとクリーヴランド管の演奏は、いつも録音であることを忘れさせる臨場感がある。普段は硬派なクリーヴランドの弦が、ウィーンフィルのような艶やかさを醸し出す。曲全体に瑞々しく淡い芳香が漂う雰囲気だ。ヘッドフォン越しの活き活きと弾む弦の響きに、心が浮き立ち頰が緩む。冬の時代を終え、春を感じたい。太陽の光は少し眩しすぎるのだけれど、流麗な音楽の調べに身を任せていると、ふわふわとした夢見心地の気分になる。そう、本当に春になったのだ。季節の春というだけでなく、心の中にも春がやって来た思いがした。

ヴェルザー=メストは、昔からメンデルスゾーンを得意とする。フォルムのきっちり整った演奏は、ロンドンフィルとの録音と変わらない。気のせいかもしれないが、ベートーヴェンやブルックナーと同様に、以前よりも”体温”を感じさせる。第1楽章と第4楽章での、溢れんばかりのエネルギーは昔の録音では見られなかった気がするのだ。何かに駆られるようなあのパッションは、メンデルスゾーンでも健在だった。

今回の演奏で特に気に入っているのは、第2楽章と第3楽章だ。儚げな美しい旋律なので、誰が演奏してもそれなりの形になるだろう。細部の繊細な表現に、ヴェルザー=メストらしさがよく出ていると思った。今にも崩れ落ちそうな脆く翳りのある弦の響き。ときおり顔を出す柔らかな木管の音色は、桜の淡いピンク色を連想させる。聴いているうちに、じんわりと胸の奥が締め付けられた。


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