SSブログ
前の2件 | -

Mahler's Fifth [音楽]

様々な指揮者とオーケストラのGM5を聴きながら、ヴェルザー=メストとクリーヴランド管の演奏に思いを巡らしている。やはり彼らの音楽はつねに抑制が効いていて、見通しが良く、軽やかである。さりながら、その底から立ち昇る情味の香りが聴き手を酔わせるのだろう。聴き終わった後は、芳醇な美酒のように後を引き、一方であふれんばかりの浄福感に包まれる。



Listening to various recordings of Gustav Mahler's symphony №5, I am thinking of the last September's performance by Cleveland Orchestra under the baton of Music Director Franz Welser-Möst. Their music is always understated, transparent, and kind of pleasing. However, a human touch fragrance rising from the their performance fascinates listeners. After listening to the end, the resonance lingers like mellow-taste wine and pure happiness captures listener's mind eternally.

===
備忘録(初回放送を鑑賞後のメモ書き)
ヴェルザー=メストとクリーヴランド管のGM5。美しさよりも地を這うような凄みを感じた。薄明かりの中を一歩一歩着実に進んでゆきながら、甘美に歌いあげたくなるところをぐっと抑え、一気に加速する。テンポ設定が絶妙だ。アンサンブルは一糸乱れず。音楽の盛り上げ方が最高に上手い。

「句読点の付け方」が少し変わった気がする。もっとサクサク進むかな?もっと弦が歌うかな?とあれこれ予想していたのだけれど、嬉しいくらいに期待を裏切ってくれたなあ。マンネリとはほど遠いコンビだ。今週のカーネギーに向けて、めちゃくちゃ気合いが入っておられるようです。

第2楽章のチェロの響きが秀逸すぎる。どうやったらあのような漆黒の音色を引き出せるんだろう。遅めのテンポから突如狂ったように加速するところとか、こだわりがありそう。

音楽がブチっと切れたり停滞しないのは、果てしなく続く一本の太い線があるから。ここはどんな曲を振っても揺るがない。その中で変幻自在に表情を変える指揮者とオケの姿が出色だった。今回のクリーヴランド管とヴェルザー=メストのマーラー5番。

やはり今回のアダージェットは特別なのだな。
"James R. Oestreich
Have you ever heard the magical Adagietto of Mahler's Fifth Symphony played more beautifully than in the Cleveland Orchestra's reading under Franz Welser-Most on Thursday at Carnegie? I haven't. No laggard tempos or soupy emotion needed; just an uncanny mix of ease and intensity."

例のアダージェットを聴くと、胸の内に無意識に隠していた感情が表面化する。不思議な感覚だ。ノーベル賞コンサートで、「音楽は現実を超越したもの伝達する」と語ったスピーチの真意が少し理解できたかもしれない。最終楽章はまるで舞踏会のよう。こういう所はさすがだなぁ。

1日を始めるには、第5楽章の底抜けの明るさがふさわしいけれど、ふとした瞬間に脳内でリフレインするのは、第3楽章の旋律だったりする。なんとも言えない感情の移ろいを全身で感じるから。GM5、思っていたよりずっと奥が深い。いつもながら様々な気づきを与えてくれるな…TCOとヴェルザー=メスト。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

チャイコフスキー交響曲第5番 [音楽]

beijing.png


Tchaikovsky Symphony No. 5
The Cleveland Orchestra
Franz Welser-Möst, conductor
April 2019 at the National Centre for the Performing Arts in Beijing

約20年ぶりにクリーヴランド管が中国ツアーを行った。
2日間にわたる北京公演は、両日とも全世界に向けてライヴ配信され、オンデマンドとなっている。中国中央電視台のすごさに恐れ入るばかり。

ヴェルザー=メストとクリーヴランド管のチャイ5の演奏時間は、わずか40分だ。速いと言われるムラヴィンスキーでさえ41分なのだから、本曲の最速記録を更新したかもしれない。目の覚めるような緊張感でもって、今までのチャイ5のイメージを鮮やかに覆えす。この演奏では、聴き手が甘い感傷に浸る場面はない。代わりに、沈みかけた心を激しく揺さぶり、奮い立たせる何かがある。迷いのない切れ味の良さ、俊敏さ、張り詰めた緊迫感。どこを切り取っても、辛口なのである。

いつもながら、木管セクションが惚れ惚れするほど美味い。スミスさんとローズンワインさんに加えて、Afendi Yusufさんのクラリネット。冒頭、あざとさのない、控えめな音色でチャイコフスキーの世界に誘う。

第2楽章。抑えきれない感情が溢れ出し、めらめらと燃え上がる。多幸感に包まれる暇はなく、凛々しく進行する。叩きつけるような激しさが印象的だ。

第3楽章。かつての美音に徹するヴェルザー=メストらしさを垣間見ることができるのは、この楽章だけだった。凛とした佇まいの中に、そこはかとない美しさが滲み出た瞬間を感じた。オケの水際だった演奏がキラリと光る。疾風の如く駆け抜ける最終楽章は、圧巻としか言いようのない出来栄えだ。


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽
前の2件 | -

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。