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音で紡ぐ詩 [音楽]

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(シュトラウス三兄弟 左から エドゥアルト、ヨハン、ヨーゼフ)



「舞踏会でワルツを演奏するときには人々が音楽に合わせて踊れるように、正確な拍子で演奏しなければならない。しかしコンサートでは、演奏の仕方も変わってくる。なぜならそれは、音で紡ぐ詩のようなものだからだ。」(ヨハン・シュトラウス)


年の瀬に放送された「BS世界のドキュメンタリー 美しく青きドナウ 名ワルツは、こうして生まれた」で紹介されたシュトラウスの言葉です。
同時代のワーグナーやブラームスに比べて、シュトラウス一族の曲は心地よい音楽程度にしか捉えていなかったのですが、私の浅はかな考えは完全に覆されました^^;



美しく青きドナウが作曲されたのは1867年ですから明治維新の前年ですね(年号を聞くと何でも日本史に置き換えてしまう・・)。プロイセンとの戦争に大敗したオーストリアの国民を励ますために作曲されました。もともとは合唱曲だったとのこと。ヨーゼフ・バイルという詩が得意な警察官が曲想に全く合わない歌詞を作ったのが原因で、初演は惨憺たる結果に終わったそうです。その後管弦楽用に書き直してパリ公演で成功をおさめました。今ではお正月の定番曲です。

初々しい2011年バージョンを。




番組ではフランツ先生(ヴェルザー=メストさん)がたっぷりと解説をしています。
冒頭で引用したシュトラウスの言葉に対し、ヴェルザー=メストさんは、「舞踏会とコンサート、両方のニーズをみたすため、ダンス音楽が交響曲ともなりうる音楽を書いた。そこがシュトラウスの並外れたところなのです。」と力説します。確かにシュトラウスの曲は単なる心地よいワルツに留まっていません。メストさん&クリーヴランドオーケストラの定期演奏会では、流麗で馥郁たる香りが漂うシンフォニックなシュトラウスを聞きました。一方で、映画『エイジ・オブ・イノセンス』の舞踏会シーンのシュトラウス演奏はダンス音楽そのものです。


音楽家ならではの視点として調性にも注目しています。
「音楽の歴史を振り返ってみると、長調や短調といった調がそれぞれ基本の色を持っているのがわかります。例えば美しく青きドナウの主部はニ長調で、困難を克服するという人間の信念が表れています。他の調ではこういう感じにはなりません。もし変イ長調だったら、心の底から同じ感動は味わえないんです。ドナウのこの特別な調には、人にどんなことでも克服できる感じさせる何か特別なものがあります。」
今まで調性のことなど気にも留めず漫然と聴いていましたねえ。変イ長調の場合どんな響きになるのか想像できませんけれど(汗)、言いたいことはよくわかります。



有料オンデマンド放送は18日まで。
吹き替えなしのオリジナル番組はこちらです。





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