ブラームス ヴァイオリン協奏曲 [音楽]
ヴァイオリン独奏: ルノー・カプソン
指揮: ダニエル・ハーディング
管弦楽: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(カデンツァはクライスラー版)
ある映画評に「田中裕子も岸部一徳も上手い俳優であることは誰でも知っているが、その良さをこれほど確実に画面に定着させる監督のイマジネーションの豊かさには感服した」という素敵な一文があるのですが、今回のカプソンさんの新譜を一聴した感想がまさに、
「カプソンもウィーン・フィルも上手な奏者であることは誰でも知っているが、その良さをこれほど確実に聴かせるハーディングの手腕に脱帽」、なのです。
ソリストとオケのバランスに問題があると退屈な曲に聞こえてしまうことがあるのですが、そういったことが一切ありません。かといって、バランスにばかり気を取られてこじんまりしているわけではなく、誰かが突出しているわけではないのにそれぞれの良さが引き出され、締めるところはしっかり締めている指揮に好感を持ちました。
カプソンさんのソロは声高になることはないのですが隅々にまで神経が行き届いた、非常に丁寧な演奏。決して焦ることなく丹念に音楽を紡いでゆくところが特に良いです。
カデンツァはクライスラー版を使用。所有ディスクのほとんどがヨアヒム版なので、新鮮で聴きごたえがありました。
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