SSブログ

カーネギー・ホール・ライヴ Pierre-Laurent Aimard at Carnegie Hall [音楽]

1.jpg


カーネギー・ホール・ライヴ
2001年 12月

1. ピアノ・ソナタop.1(ベルク)
2. ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調op.57「熱情」(ベートーヴェン)
3. 2つの伝説~第2番 波の上を歩くパウラの聖フランソワ(リスト)
4. 映像第1集~水の反映(ドビュッシー)
5. 映像第2集~金色の魚(ドビュッシー)
6. 練習曲集第1巻~第2曲 開放弦/第6曲 ワルシャワの秋(リゲティ)
7. 練習曲集第2巻~第10曲 魔法使いの弟子(リゲティ)
8. 幼子イエスに注ぐ20のまなざし~第11曲 聖母の最初の聖体拝領(メシアン)
9. 12の練習曲~第6曲 8本の指のための(ドビュッシー)

エマールさんのカーネギーホール・デビューのライヴ録音。
観客の拍手やブラボーの声もノーカット。録音状態はすこぶる良いです。


エマールさんの演奏に接すると、うーん何だか誰かに似ているんだけれど、誰だったかしら?といつも感じていたのですが、やっと思い出しました。狂言師の野村萬斎さんです。

萬斎さんがNHKの「ようこそ課外授業」に出演した際に(かなり昔ですけど^^;)、

「能楽ではご覧の通り型にはめます」と。
(個性を尊重しましょうの風潮に逆行するような?)
「ところが実は型にはめることで新しいものが生まれてくる。野放図にやらせてもちっとも芸術的に高いものは生まれてこない。やはりちゃんとした基本をマスターした上で、型からはずしてやると、初めて大成した立派な創造性のあるものが出てくるんだ」

これです、これ。エマールさんの演奏を聴いて感じること。

音のコントロールが徹底していて曖昧さがない(このあたり、型にはめるに通じるものがあるかと)。どんな場合も「崩れない」けれど、終始技巧に徹した冷たい印象はなく、いたって自然。ふっと自由になる瞬間も垣間見ることができる。理知的でありながら創造的な音の調べ。そういうものを強く感じるピアニストなんですね。

3.jpg


ベルクとベートーヴェン。
あからさまな表現は見られません。透明感のある繊細な音楽作りであり、宝石のように美しいピアノの音。中庸の演奏でありながら、ベルクの妖艶な美しさもベートーヴェンの(内に秘められた)熱さもダイレクトに伝わってくるのが良いです。

最近読んだチャールズ・ローゼン氏の『ピアノ・ノート』の一節には、
「ピアノで作品を弾くとき、美しい音色の質はメロディの輪郭の描き方と、和声や対位法の組み立て方で決まる。これが正しくできれば―-―和音が共振し、メロディの統一がとれて輪郭がくっきりしていれば―-―美しい響きが得られる」と。
エマールさんの美音はこのあたりに関係がありそう。

続くリスト→ドビュッシーという流れでリゲティとメシアンを聴くとほとんど抵抗がありませんでした。あ、難しい曲には違いないと思いますが^^; 
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 [音楽]

最初に聴いたのはアシュケナージさんの演奏です。以来、いろいろなピアニストの演奏を楽しんでいます。朝、仕事前にかけたくなる一曲。自然と心が躍り出してしまう魔法のような音楽なんです。

エマールさんの解説(レコ芸のインタビュー)によりますと、この第1番は「まだ秩序だった作品で、とても古典的で、やはりバロックの遺産を受け継いでいるといってよいでしょう。技巧的な面では、流暢に流れる音階が多用され・・・」とのこと。何となくモーツァルトの協奏曲にも似ていますよね。



20120308.jpg
アシュケナージさんのピアノ(指揮も担当、オケはクリーヴランド管弦楽団)は、強弱はっきりで躍動感あふれる演奏です。朗らかに歌うベートーヴェン。ソリストの明るいピアノと指揮にのってオーケストラもよく鳴っています。



さて今日のディスク。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集

  • アーティスト: ベートーヴェン,アーノンクール(ニコラウス),エマール(ピエール=ロラン),ヨーロッパ室内管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2003/03/26
  • メディア: CD


(ここでは廃盤扱いですが、店頭やHMVでは販売されています。)

ピアノ: ピエール=ロラン・エマール
指揮: ニコラウス・アーノンクール
管弦楽: ヨーロッパ室内管弦楽団
録音: 2001年

白眉は第3楽章です。
つぼみが一気に開花するかのごとく、鍵盤の上でエマールさんの指が疾走するんです。フレージングが冴えたノリノリの演奏。第3楽章のユーモアをここまで感じた演奏は初めてです。それに合わせてオケもヒートアップ。ライヴならではの高揚感がありますね。
第1、2楽章の演奏は、ソリストとしてはあまり出しゃばらず、優しく控えめに弾いているなぁという印象があったので、最終楽章の華やかなタッチが際立つのだろうと思います。


ただし、カデンツァは別。力強く主張があります。普段あまり使われないカデンツァを採用しているのですが、それについては
「私が弾いたカデンツァは、動作の力強さや粗暴な推力が明白で、それが楽曲本体に感染していくという趣向ですが、それがこの協奏曲の演奏の醍醐味なのです。」とのこと。
ここだけ少し浮いている?との感触はあながち見当違いではなかったようです。ピアノの押しが強い強い。ラヴェルの左手のコンチェルト並みのカデンツァですね。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

モーツァルト ピアノ協奏曲第18番 [音楽]

モーツァルト ピアノ協奏曲第18番

ピアノ&指揮: ピエール=ロラン・エマール
管弦楽: クリーヴランド管弦楽団
2/18の演奏会のエアチェック

最近、エアチェックした放送やテレビの録画を消化するのが遅れ気味です。エマールさんのモーツァルト、やっと聴くことができました^^


明るくて快活なアンスネスさんのピアノの対極にある演奏です。アンスネスさんが軽やかに弾くところをエマールさんはじっくり聴かせるんですね。テンポは遅めですが透明感のある音色を保ちつつオケを自在にドライブしています。思慮深い?モーツァルトです。

急にプログラムが変わったとはいえ、クリーヴランド管にとってはモーツァルトの弾き振りプログラムはお手の物。ここ数年は内田さんと組んでいるので、エマールさんに代わってもその姿勢は変わらずといったところです。せかせかせず、重心は低めに構えつつも決して重たくはならない。エマールさんのピアノによく合います。ノルウェー室内管弦楽団がピリオド系の奏法であるのに対し、クリーヴランド管はモダンオーケストラの演奏です。

レビューも概ね好評。

"The reduced ensemble was hyper-responsive to cues from the piano soloist, and the give and take was impressive even in the smallest nuances and joins. Aimard played with purpose and clarity, masterfully shaping and directing his phrases." (clevelandclassical.com)
→実際に聴いていると、オケの面々がどんな小さな指示も逃さずに反応している感じがします。


"the Mozart by and under Aimard was impossible not to like, a few minor flaws notwithstanding. Far from monochromatic, his performance was woven liberally with dark, gloomy threads, such that even smooth or bubbly surfaces transmitted ripples of discontent.
What's more, the reading was unusually intimate. Leading from the keyboard, Aimard kept the ensemble on its very tiptoes and engaged with it in meaningful, contoured dialogue."
(cleveland.com)
→そうそう、特に第2楽章、薄暗い糸で織りなすイメージなんですよね。エマールさんの解釈は。


シェーンベルクとストラヴィンスキーの曲は初めて聴いたのでまだ頭の中で咀嚼中です^^

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。