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リサイタル in USA その3 サンフランシスコ (3/27) [記事抄訳/要約]

最終日のサンフランシスコ評ではベクトルの違う記事を2件見つけました。両方とも読みごたえたっぷりです。同じ演奏を聴いても感じ方は本当に人それぞれ。批評って難しいですね。

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San Francisco Classical Voiceに寄稿したJanos Gereben氏は、
これまでに紹介した他の批評家と同様にエマールの堅実な音楽性に言及しつつ、
"He plays the silence between notes superbly."と述べています。音符の間の静寂を奏でる達人であると。おおーこれは新たな着眼点です。

It was especially here, and later with Kurtag's Szalkak (Splinters), that Aimard's uncanny ability to make silence a vital part of the music came to the fore. Individual notes lingered and gained special meaning from the pause before the next note is heard.



一方、SFGate.comのJoshua Kosman氏によると、
技術的な高さやプログラム構成の妙は認めるが、歓喜の念が湧いてこないとのこと。(なるほどねぇ)
It was impressive, certainly, and often beautiful, but also oddly joyless, as though the ability of music to bring pleasure were only an incidental aspect of the enterprise.


クルターグでは、作品から滲み出る繊細な香りよりも禁欲的な面を重視した演奏であったと指摘し、もう少し柔らかく熱情に富む解釈であれば説得力があったと述べています。
シューマンは精彩を欠いていたとする一方、リストは体温のある演奏だったと言及。後半のドビュッシーも分析的なアプローチに徹していたと批評しています。
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リサイタル in USA その2 サンタバーバラ (3/26) [記事抄訳/要約]

CAMA's 93rd Concert Season MASTERSERIES at the Lobero

Aimard_1.jpg

(白熱の瞬間を激写。髪がぁぁぁ。)


Santa Barbara Independent紙の批評から
By Charles Donelan

Pierre-Laurent Aimard at the Lobero Theatre
CAMA Masterseries Presents French Pianist in Recital

… (中略) his reputation for interpreting challenging traditional pieces stands every bit as tall as his renown for championing modern compositions. Aimard gave a stunning performance on Monday night, full of passion and ingenuity and devoid of ego or showmanship.
エマールは現代音楽の旗手として評価されているのだが、手ごわい古典作品の解釈も全く引けを取らない称賛の的だ。月曜夜のエマールの演奏は、虚飾を排して奇をてらわない、情熱と独創性に満ち溢れた見事なものであった。


CAMA Masterseriesのサイトに、
エマール自身がプログラムの趣旨を解説する動画がありましたのでアップします。
(2:20秒頃から)





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リサイタル in USA その1 デンバー [記事抄訳/要約]

エマールの3/22, 24, 26, 27のリサイタル評がwebに掲載されていたので拾ってみます。


曲目
KURTAG: Selections from Jatekok (Games)
SCHUMANN: Selections from Bunte Blätter
KURTAG: Splinters
LISZT: Unstern! Sinistre; Les jeux d'eaux a la Villa d'Este
DEBUSSY: Preludes Book II

Kurtag's name, music difficult - but Chamber concert often ethereal
By Sabine Kortals Special to The Denver Post
環境によってはクリックで開かない場合もあるので念のためアドレスを。表示までに時間がかかります。(http://www.denverpost.com/breakingnews/ci_20237146/kurt-aacute-gs-name-music-difficult-mdash-but)

*あくまで個人的な趣味の範囲で記事を読んでいます。
日本語は備忘録として。


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3/22 デンバー

ジェルジュ・クルターグの名前は発音が難しい。氏の音楽は難解だ。
しかし、フランスのピアニスト、ピエール=ロラン・エマールの手にかかれば  -Friends of Chamber Musicでのデビュー・リサイタルにおいて-  希薄で唐突、無骨な主題でさえも心地良くときには優美にさえ感じられる。
 

木曜日のGates Concert Hallでは、リサイタル前半にクルターグの作品が散りばめられていた。このリサイタル、シューマンとリストという同年代作曲家にも焦点を当て、全曲休憩なしで連続して演奏された。卓越した技術を備えたベテランのヴィルトゥオーソのエマールは、個々の作曲家の類ない芸術的特徴について、平等に洞察を加え聡明さをもって探究した。


シューマンの「色とりどりの小品」は、さまざまな雰囲気や音楽的テクスチャーから構成される14の楽曲集である。愛するクララに捧げられた第1曲目では、エマールはその柔らかな抒情性を丁寧にそして繊細に演奏した。


次にエマールは、演奏家としての洗練されたフォームと柔軟性を披露。続く作品の内声と外声をうまく対比させ、一方で終始、程よいテンポで音楽の推進力を維持した。
悲痛なワルツの解釈には哀愁が漂い、流麗なノベレッティの演奏はエネルギッシュ。この上なく素晴らしかった。


エマールが手綱を取るリスト晩年の作品、凶星!(不運)と エステ荘の噴水の重量感、荘重さも出色だ。凶星!(不運)の暗黒さを激しく精力的に掘り下げ、一連の強烈な不協和音を華麗に演奏した。


一方、エステ荘の噴水では静寂へと戻る。ここでは、印象主義の先駆けとなるさざ波の如くぼんやりと現れる主題の中を悠々と浮遊した。


このプログラムのハイライトは、間違いなくドビュッシーの前奏曲集IIにおける、エマールの流暢でかつ即興的な演奏であろう。12の前奏曲の進行により- 各々、特定の技術的難題または音楽的テクスチャーに焦点が当てられているのであるが― ある種の雰囲気が醸成される。静寂の支配する内向的なイメージ(Brouillards霧)から機知や斬新さに富むイメージへと変化し、そして興奮に満ち溢れてクライマックス(Feux d'artifice花火)を迎える。


エマールはペダルを多用するきらいがあり、最初の方ではいくらか音が濁っていたのだが、柔らかく明朗な前奏曲にはよく合っていた。
Perhaps most remarkable was Aimard's consistent, deeply-felt musicality, delivered sans affectation or pretension. そしておそらく最も注目すべきは、個人的な思い入れや仰々しさを排除した、エマールの堅実かつ詩情あふれる音楽性である。

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デンバーは好評だった模様です。特に最後の一文、良いですね~。

リスト以外は聴きこんでいないor知らない曲なので想像するしかないのが残念です。
シューマンについても取り上げられる機会が少ない曲なのですね。


ロルティの演奏で♪

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