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ある日突然に [プロフィール]

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なぜそれほどまでにヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラの音楽を聴くのですか、と尋ねられることがあります。きっかけは?いつから?などなど。細々とブログを始めて2年以上になるので、この辺りで事の始まりを書いてみようと思います。長らく触れなかったのは、単に恥ずかしかった、それだけです…。


私がヴェルザー=メストの名前を知ったのは、2010年の年の瀬です。音楽体験は、子供の頃のピアノと鼓笛隊、舞踊、箏と決して多くありません。クラシック音楽は好きでしたが、それはあくまで作曲家が好きなのであって、指揮者や奏者に関心が向くことはありませんでした。ただ、同じ曲なのに奏者によってどうしてこんなに印象が変わるのだろう、という疑問は持っていました。「今日買ったCDよりも、前にラジオで聞いた演奏の方が好みだった」といった具合に。つまるところ、ライトな音楽愛好家に過ぎなかったのです。


2010年12月のある日、当時購読していたキネマ旬報を買うために、近くの書店に行きました。『キネマ旬報』の隣に並んでいる『音楽の友』という雑誌がふと目にとまります。読み進めると、そこには未知の世界が広がっていました。外来オケの公演レビューや著名な音楽家のインタビューに、ページをめくる手が止まりません。その中で、ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラの記事を見つけたのです。この時は、ヴェルザー=メストの名前ではなく、クリーヴランドという地名に反応したのだと思います。クリーヴランドの地名が登場するお気に入りの戯曲をすぐさま思い浮かべ、「アメリカの中西部からわざわざ日本に来るなんて、すごいなあ。」と。立ち読みで終わらせず、購入して帰路につきました。 


年が明けて、2011年の元日の夜。お正月にはニューイヤーコンサートを観るのが定番でしたので、迷いもなく教育テレビにチャンネルを回しました。「おや、今年の指揮者はあの雑誌に載っていた方だ。」
番組が進むにつれて、いつもと違う何かが心の中に浮かんでくるのです。毎年聴いているウィーンフィルのニューイヤーコンサートのはずが、何かとっても純度の高い音楽に聴こえたのです。流麗な音楽を助長する流れるようなカメラワークも魅力的で、瞬く間に見入っていました。「いつもと違う、何か違う、でも何が違うか分からない。」その後、生まれて初めてニューイヤーコンサートのCDを購入します。この頃はまだ、興味があるという程度です。


数ヶ月経ってもお正月の音楽が頭から離れません。うーん、これはどうしたものか。好きな曲は繰り返し聴くけれど、未だかつて経験したことのない感覚が続きます。あの優雅な音楽が勝手に脳内再生されるのです。ついにインターネットでヴェルザー=メストとクリーヴランドについて調べ始め、WCLVという地元のラジオ局にたどり着きました。初めての放送は、ベルクのヴァイオリン協奏曲と、ブルックナーの交響曲第5番。音楽経験が少ないので当然のことながら、「ああ、やっぱり無理だ、分かりそうにないわ」と挫折感を味わいます。


難しくて理解できなかったのに、心の中では「もっと知りたい」という想いが溢れ出ていました。どうやっても止まりません。もう少し聴きやすい曲はないかなと録音を探し、カーネギーホールの演奏会とブルックナー7番のDVDを購入しました。これが大当たりで、その後はスポンジがどんどん水を吸収するかのように、音楽を聴き続けています。録音を購入しつつ、インターネットラジオを録音して繰り返し聴く。ヴェルザー=メストをきっかけに、他の演奏者にも興味を持ち始めたので、様々な指揮者やソリストのCDを海外から大量に購入しました。地方の図書館には、クラシック音楽のCDをほとんど置いていないので、身銭を切って集める以外方法はありませんでした。当時の驚異的な円高に助けられましたが、ずいぶんと投資したと思います。


そんなわけで、たまたま手に取った雑誌でその名前を知り、翌年のニューイヤーコンサートをきっかけに、今のような音楽生活に至っています。毎週のように通っていた書店で、今まで一度も手に取らなかったその雑誌を、なぜその時に限って手にしたのか。数あるオーケストラの記事の中で、なぜクリーヴランドなのか。理由は全くわかりません。何となく引き寄せられたとしか言いようがないのです。運命的な(?)出会いとしておきましょう^^


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