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Neglected masterpiece [音楽]

演奏機会に恵まれない隠れた名作のことを、ヴェルザー=メストは”neglected masterpiece”と呼んでいる。去年リンカーンセンターでセンセーションを巻き起こしたR.シュトラウスのダフネをはじめ、今シーズンのブルックナーの交響曲第6番やショスタコーヴィチ交響曲第4番もその部類に入るようだ。


先週の木曜と金曜の定期演奏会でショスタコーヴィチの4番とアブラハムセンの”Let me tell you”(アメリカ初演)を取り上げた後、日曜日にカーネギーホールで同演目の演奏会があった。昨日の深夜、公演の様子が知りたくてインターネットを覗いてみると、あちこちで絶賛の嵐になっていた。Yay!!! 美しい音楽と同じくらい、美しい言葉には身体を癒す力があると思う。ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラを賞賛する文章を読むたびに、クタクタに疲れて冷えきっていた身体の温度が上がってゆくのだ。実際に聞いたわけではないのに、1日経ってもまだ興奮しているようなので、私はよほどこの方たちが好きなのだろう^^


NYTのアンソニー・トマシーニ氏によるレビュー
(ショスタコーヴィチについて)
Sunday’s program also offered an outstanding performance of Shostakovich’s formidable Fourth Symphony.

The music can seem rambling and excessive. But in this performance, rather than going all out to convey the brutal, grotesque, militaristic extremes of the music, Mr. Welser-Möst and his great orchestra just played the piece to the hilt. In this incisive, brilliant performance, the symphony seemed a purposeful entity, however shocking and excessive.


IMG_5980.jpg

(お茶とケーキをお供に、演奏会評を読むのは最近のささやかな楽しみの一つです。)



2012年ごろからヴェルザー=メストはクリーヴランドでショスタコーヴィチを意欲的に取り上げ、これまでに5、6、7、8、10番を指揮している。今回の4番は放送予定に入っていないので当分聞けないと思うが、近い将来IDAGIOで聞けるようになるのではないかと考えている。ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラはIDAGIOのローンチメンバーであり、ベートーヴェンとショスタコーヴィチは我々の看板だと言っているのだから期待大ではないかしら。


私にとってはショスタコーヴィチはまだまだ難解な作曲家の一人であり、有名な5番に加えようやく6番を楽しめるようになってきたばかりである。2012年のカーネギーホールでの6番を久しぶりに聴いてみた。クリーヴランドの合奏能力と相まって、諧謔的な第3楽章にはいつも圧倒される。


今週末から毎年恒例のマイアミレジデンシーが始まる。今年は10周年の節目を迎え、演目も豪華だ。
”Neglected masterpiece”ではないかもしれないが、演奏機会の少ないチャイコフスキーの交響曲第1番やプロコフィエフの交響曲第3番が曲目に入っている。すべてライヴ中継してくれるので今から楽しみだ。アンスネスさんが久しぶりにソリストとして登場し、シューマンのピアノ協奏曲を弾く。5年前はエマール先生がマイアミでシューマンを弾いてくれた。最近はシューマンのコンチェルトといえば、ヘルムヒェンとピエモンテージくんの演奏ばかり聴いていたので、中堅のアンスネスさんのピアノに期待を膨らませている。


来週はNHKFMでクリーヴランドオーケストラ特集もあるのでお見逃しなく!




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コメント 4

T.D

カーネギーでのショスタコ4番はブーレーズへ捧げられた演奏会でもあったようですね。”neglected masterpiece”、あまり聴きなれない曲が絶賛されていたと知り嬉しい限り。同時に早く聴きたいと願うばかりです。しかしなかなかショスタコの音楽は難解ですよね。難解と言えば、以前話題にあがったマーラーの6番を聴きましたが、超名演でした。猛進する勢いと流麗な繊細さに圧倒されましたー!!

週末から来週にかけてヴェルザーメストを聴ける機会がたくさんあるのですね。ひとつ逃さず聴きます。マイアミ公演も楽しみですが、私はブラームスとR.シュトラウスが大好きなので、NHKに感謝です。チャイコフスキーとプロコフィエフ、ロシアの音楽をどう魅せてくれるのか...期待してます!

by T.D (2016-01-21 17:36) 

menagerie_26

T.Dさん

マーラー以上にショスタコーヴィチは難解ですが、ヴェルザー=メストとクリーヴランド管の演奏で克服できる日が来ると思っております!マーラーやショスタコの4番は是非とも録音してほしいですね。

今週末からの放送、プログラムを眺めるだけでも心が躍る思いです。曲目解説が充実しているので、よく利用しています。(ご存知でしたらすみません。)
マイアミ http://issuu.com/lpcpub/docs/miami-1516-wk2-3
NHK ブラームス http://issuu.com/lpcpub/docs/tco-1314-week09

NHK シュトラウス http://issuu.com/lpcpub/docs/miami-1314-wk1-2-fwm-shaham-keenlys
by menagerie_26 (2016-01-22 08:06) 

T.D

こんなに充実した曲目解説があるとは知りませんでした。ますます楽しみになってきました。ありがとうございます。
クリーヴランドは今まさに新しい黄金期を迎えている、私はそう思います。本当に録音を増やしてほしいものです。

ヴェルザーメストのチャイコフスキー楽しみですね。アンスネスのクリスタルなピアノも。日曜朝10時、滅多に無いですが寝過ごしたら大変です...。ヴェルザーメストの音楽は聴けば聴くほど惹かれるところがありますし、本当に素晴らしい指揮者だと思います(他の指揮者の演奏が受け付けられないことも)。まだ知らない新しい音楽との出会い、楽しみましょう。
by T.D (2016-01-22 22:09) 

menagerie_26

T.Dさん

無料でここまで詳しいプログラムを提供するクリーヴランド管の事務方にも感謝ですね。
マイアミ公演初日のレビューでチャイコフスキーもシューマンも絶賛されています^^ますます楽しみになってきました!
http://southfloridaclassicalreview.com/2016/01/andsnes-sparks-cleveland-orchestra-program-at-arsht/

私は他の指揮者でしっくりこなかった曲が、ヴェルザー=メストの解釈で理解できたことがよくあります。今後も目が離せませんね。

by menagerie_26 (2016-01-23 13:30) 

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