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ブラームス 交響曲第1番 - Johannes Brahms Cycle No. 5 - [Johannes Brahms Cycle]

IMG_6922.jpg

(写真は桃花。ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラの1番は、この桃花のよう清澄なイメージです。)

Symphony No. 1 in C minor, Opus 68
The Cleveland Orchestra
Franz Welser-Möst
September 2014, Royal Albert Hall


ザルツブルク音楽祭のブログに、ヴェルザー=メストのインタビューが掲載されている。ウィーンフィルのこと、共演する歌手、R.シュトラウスに対する思い、そして今夏のダナエの愛について熱く語り、クリーヴランドオーケストラの音色にも言及している。”Its sound is silvery, elegant, transparent, singing, intimate, brilliant, never forced, and bright colours dominate.” ふと"bright colour"に目が止まった。


これまでよく聴いていた小澤さんとサイトウキネンオーケストラのブラームスは、翳りや憂いを帯びたサウンドだ。クリーヴランドの音色は確かに明るいのだが、燦々と輝くようなイメージではなくて、純度の高い暖色系の音色とでもいうのかしら。明るめのトーンが意外にもブラームスの1番によく合っていると思う。


約20年の歳月を経て遂に完成した第1番、重厚に粛々と開始するのではなく、ぐっと押さえて、しなやかに音楽が始まる。この出だしが非常に良い。忍び足で始まる舞踊のようでもあり、実に優雅なのだ。そういえば箏の先生に、10割の声ではなくて、7割くらいの声で余裕を持って歌うのが良い、と教わったことがある。ヴェルザー=メストとクリーヴランドの演奏にもそういう部分があって、パワーで弾き切るのではなくて、良い意味で余裕が感じられる。歌唱的な響きを全面に出したブラームスではあるのだけれど、時折エッジの効いた鋭い響きも聞こえてくる。grazioso (優雅に)というブラームスの指定を正確に体現したような第3楽章も心地良い。第3楽章が始まる前に、クラリネットのマッケルウェイさんとアイコンタクトをするマエストロの表情も微笑ましかった。



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コメント 4

T.D


クリーヴランドでの仕事はすでに長期政権とも呼べそうですが、この抜群のコンビネーションの関係が順調に進むことを願うばかりです。ドホナーニ時代の演奏はほとんど聴いたことがないのですが、きっとその頃と比べると、ずいぶんメスト色がエッセンスとして加わった音色(=bright color)になった、ということになるのでしょうかね。"silvery"という表現ですが、銀色の輝きとも取れるし、澄んだ美しさとも取れるようです。両方ぴったりの良い言葉です。

このブラームスは新鮮でした。私も小澤征爾のブラームス、カラヤンのブラームスを好んで聴いてましたが、全く違うアプローチング。序盤の忍び足とはまさにです。それでいて、かなり盛り上がっている場面でも余裕を感じさせる。表現力の奥行きの深さが如実に現れていますね。第二楽章のコンマスの調べも、まるで何かがトロけるような甘い調べで気に入っています。書ききれないほどこのブラ1は好きなのですが、長くなりすぎたのでこの辺で...笑
by T.D (2016-04-12 20:49) 

menagerie_26

T.Dさん

力まずに自然体でありながら、ここまで盛り上がるブラームスの1番は初めての体験でした。プロムスのライヴ収録ですので、ほとんど修正もないですよね。凄すぎます!


ドホナーニの演奏が、余白まで考え抜かれた楷書体の書とすると、ヴェルザー=メストの解釈からは、滑らかな行書体を連想します。クリスタルなサウンドから、暖色系の柔らかな響きへと変化しているように思います。
現在のコンサートマスターの音色は、ヴェルザー=メストの音楽性にとてもよく合っていますし、前任者のダニエル・マジェスケ氏の楚々とした音色は、ドホナーニの解釈にふさわしく感じます。コンサートマスターと音楽監督の相性も重要ですね。

by menagerie_26 (2016-04-13 22:27) 

T.D

なるほど、行書体ですか。しなやかさや可憐さを感じますね。力んでいるわけではないのに、パワーを感じる推進力満点の演奏、普通なら相反するはずが、どんな魔法をかけられているんでしょうか笑

オンデマンドになっている運命の演奏も素晴らしい。良い音質で聴き直すと、金管楽器に隠れながらも熱のある弦の音のキラリと光ること。特に第四楽章は圧倒されるようなスケール感を感じることができました。

マエストロ来日の際はぜひ生で聴きたいものです。
by T.D (2016-04-14 19:47) 

menagerie_26

T.Dさん

やはりWCLVの音質で聴くと迫力がありますね。
どこまでも飛翔するかのような第4楽章、私もとっても好きです。

さて来週は無事にコンセルトヘボウ管のデビューとなりますでしょうか。今のところ、キャンセルのニュースは出ていないようですね!
by menagerie_26 (2016-04-16 00:41) 

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