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ブラームス交響曲第2番 - Johannes Brahms Cycle No. 6 - [Johannes Brahms Cycle]

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(アマリリスが今年も見頃です。)


Symphony No. 2 in D major, Opus 73
The Cleveland Orchestra
Franz Welser-Möst
October 2014, Musikverein


ブラームスの交響曲第2番は、実演で聴いた初めてのクラシック音楽です。友人が所属する学生オケのチケットを、義理で買ってなんとなく聞きに行ったところ、あまりに素晴らしくてしばし呆然となったのを鮮明に覚えています。いわゆる予習をしたわけでもなく、予備知識なしで聴いて瞬く間に惹きつけられてしまったのですね。その演奏会の翌日、CDショップのクラシック音楽売り場に行き、「昨日聴いた曲が欲しい、確かブラームスの2番だったよね・・・」と陳列棚を必死に探したものです。偶然手にとって購入したのは、ケルテス指揮&ウィーンフィルの録音でした。当時は開放感のある第4楽章が好きでしたが、最近は明るい曲調に潜む儚さや憂い、翳りに惹かれます。


2014年9月にムジークフェラインでライヴ録音されたヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラの第2番。同年1月にはセヴェランスホールで、夏のBBCプロムスでも取り上げています。というわけで、エアチェックした音源は3種類ありまして、2014年は個人的にブラームスイヤーでした^^


クリーヴランドーケストラは、ジョージ・セル以降のすべての音楽監督とブラームスを録音しています。マゼールさんやドホナーニさんの録音は、重心が低く、適度な句読点があり、ドイツ的な正統派ブラームスですが、ヴェルザー=メストの場合は、自身がインタビューで答えているとおり、歌謡性豊かな解釈です。溜めの代わりに歌心があるとも言えます。


ヴェルザー=メストとクリーヴランドオーケストラの演奏は、透明度の高さであったり優雅さや流麗さに注目が集まりますが、堅牢な土台の上に成り立つ麗しさというのが的確だと思うのです。音の厚みはそのままに、洗練された清澄な響きは、まるでシンクロ選手のキレのある演技、バレエダンサーの鍛えられた足の筋肉のようであります。

例えば、冒頭のホルンとスミスさんのフルートの掛け合い、それに続くチェロの調べひとつをとってみても、名状しがたい響きに圧倒されます。なんて嫋やかな音色なのだろう、と冒頭から酔いしれてしまうのです。最初を聴いただけで、これは名演になると会場の人は予想したことでしょう。早めのテンポで俊敏なイメージを与えつつも、ブラームスの音楽が持つ憂いや儚さといったものを自然と感じさせます。しみじみとした趣のある第2楽章、溌剌とした第3楽章も聴き入ってしまいました。第4楽章。強奏でもやはり音が濁らず、自然な高揚感に溢れたフィナーレです。今シーズン、そうです、今週土曜日のシーズンフィナーレで退団される日本人奏者Yoko Mooreさんの凛々しい表情が抜群に良いです。ふたたびオンデマンドで視聴可能ですが、これはぜひともDVD/Blu-rayで堪能してください!




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コメント 8

T.D

ブラームスの2番に魅せられてクラシックに興味をもたれたのですね。わかります。クライマックスの開放感がとても魅力的で私も大好きです。

マエストロのブラームスの2番を3つも聴き比べできたとは...。ちょっと羨ましいです笑。DVDでの演奏は改めて息ぴったりの演奏に驚かされました。
「堅牢な土台の上に成り立つ麗しさ」なるほど、納得しました。音楽を言葉で表すのは難しいことですが、誠に本質をつかれた表現と思います。柔軟に色や形を変えるのもまた、このコンビの魅力。
Mooreさんの退団は大変残念ですね。偉大なオケのコンサートマスターの隣を日本人女性が支えてきたことを、日本人として誇りに思います。ラストコンサートの放送を所用で聴き逃してしまったので、いつかの再放送を楽しみにしています。私は宗教曲にこれまで関心が向かず、いまひとつ魅力も見出せないままなのですが、Menageriesさんは先日のドヴォルザークいかがでしたか?
by T.D (2016-06-16 00:20) 

menagerie_26

T.Dさん

ヴェルザー=メストは合唱曲や宗教曲を得意としていますが、なかなか追いつけません。ハードルが高いですね(^^; ドヴォルザークも一聴しただけではちんぷんかんぷんで、これからです。来月の再放送をあらためて聴きます。あ、今夏はブラームスツィクルスの最後として、ドイツレクイエムを録音するみたいですね。こちらは比較的親しみやすいので楽しみです!
http://news.imz.at/news/clasart-classic-at-avant-premiere-2016-the-cleveland-orchestra-franz-welser-moest-942552

友人のブラームス2番を聴かなければ、今のような音楽ライフはなかったと思います(^^)。今回の2番でも、このコンビのトレードマークであるしなやかで清澄な響きを堪能いたしました。何度聴いても良いですね。


by menagerie_26 (2016-06-18 10:26) 

T.D

ハードル高いですよね。せめてリアルタイムで和訳が見れたらと思うのですが笑 夏にドイツレクイエムをフローリアン大聖堂で演奏するのですね。地元での凱旋コンサートということになるのでしょうか。楽しみです。

他にもこの夏にはR.シュトラウスの家庭交響曲などを持ってどこかの音楽祭に行くのでしたっけ。1つでも多く聴きたいです...。
by T.D (2016-06-18 21:02) 

menagerie_26

T.Dさん

地元の銀行が出資しているので、リンツで録音するのかもしれないですね。
今年は、ザルツブルク、グラフェーネック、ルツェルンに登場するようです。家庭交響曲や4つの最後の歌、バルトークの弦チェレと、地味な演目ですが放送に期待します(^^)。あとはやはり、ダナエの愛ですね。

by menagerie_26 (2016-06-19 09:02) 

T.D

このコンビでの家庭交響曲は素晴らしかった印象があります。田園と共に演奏されていましたよね。どのような進化が見られるのか楽しみです。R.シュトラウスの難曲にあえて挑戦するのは自身の表れでしょうか。

地元の銀行の出資があるということは、ヴェルザー=メスト、なかなか資金面でもやり手のようですね。
by T.D (2016-06-20 18:51) 

menagerie_26

T.Dさん

T.Dさんは、R.シュトラウスをよくお聴きになっていらっしゃいますね。私は家庭交響曲に馴染みがないので、去年の録音を聴き直しているところです。夏までにもう少し頭に入れておきたいです^^;

全編ドイツ語ですが下記の動画、故郷に錦を飾るヴェルザー=メストの様子がよく分かります(^-^)。ブルックナーの録音の頃から、銀行の支援があったようですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GAKWCOLlZCQ

http://www.meinbezirk.at/linz/leute/franz-welser-moest-mit-cleveland-orchestra-im-brucknerhaus-d1525267.html
by menagerie_26 (2016-06-22 20:42) 

T.D

ヴェルザー=メストのR.シュトラウスは特別です。好みは分かれるのでしょうが、「重厚さと軽妙さは反するものじゃない」という彼の言葉そのもので、R.シュトラウスの音楽に清々しく命を吹き込むようです。R.シュトラウスの曲は割とボリューミーでモッサリしてしまいがちなのですが、マエストロの手にかかると力強くしなる鞭のような力強さを得るんですよね。寒色系のエッジの効いた音から、暖色系の曲線美まで操るマエストロの懐の深さを何度も聴いて実感しています。

地元でも愛されている姿を見るのはなんだか嬉しいです。映像も良いですが、音源だけでももう少し短いスパンで出してくれるとなお嬉しいですね。ブラームスの次はどうなるのか...。楽しみです!
by T.D (2016-06-23 00:34) 

menagerie_26

T.Dさん

「R. シュトラウスの音楽に清々しく命を吹き込むよう 」、これほど的確な表現があるでしょうか!本当におっしゃる通りですね。 私は去年のダフネに心底感動しました。優雅さ、強靭さ、全てを兼ね備えた秀演だったと思います。

ヴェルザー=メストは録音に積極的ではないのが気がかりですが、次は是非ともCDで出して欲しいですね。

by menagerie_26 (2016-06-23 21:40) 

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