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"Perfectly charming" シューマン 森の情景 作品82 [音楽]

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ここのところ毎日のようにヘルムヒェンの弾く森の情景を聴いている。正確に言うと森の情景と交響的練習曲とアラベスクが収録されたアルバムをリピート中。
シューマンのピアノ曲はあまり知らないしこれまで聴くことは少なかったのだが、最近取り憑かれたように聴いている。


森の情景はオスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』にも登場する。

"As they entered, they saw Dorian Gray. He was seated at the piano, with his back to them, turning over the pages of a volume of Schumann's Forest Scenes. 'You must lend me these, Basil' he cried. ' I want to learn them. They are perfectly charming.'"
(本CDライナーノーツより引用)

オスカー・ワイルドをして「すばらしくうっとりさせる曲」と言わしめた森の情景は1849年末から翌年にかけて作曲された9曲からなる小品集。作品番号から分かるように中期の作品だ。


1. 森の入り口
2. 獲物を狙う狩人
3. 孤独な花
4. 不気味な場所
5. 親しみのある風景
6. 宿
7. 予言の鳥
8. 狩りの歌
9. 別れ


体調が思わしくなかったシューマンが小康状態にあるときに作曲されたということで、
躁鬱を繰り返すシューマンの心情を体現させようとするピアニストもいる。情感たっぷりの重厚すぎる不気味な雰囲気が漂う演奏を聴いたときは好きになれなかった曲。



ヘルムヒェンは楽譜の外にある事物に影響されることなく抑制された穏やかなタッチで曲を進めてゆく。実に明晰で楚々とした佇まいの演奏だ。とりわけ彼の和声感が秀逸。和声感がしっかりしているので、派手なことをしなくても素晴らしい演奏になるのではないかと最近よく思う。アーティキュレーションやテンポも実に自然だ。(和声感について言葉にするのは難しいのですが・・・)


特に好きなのはフリードリヒ・ヘッベルの詩が添えられた4曲目の不気味な場所と5曲目の親しみのある風景。

高く育った花もここでは死の青白さ
中央の一本だけ暗い赤色
太陽からではなく太陽の光を受けず
大地から人の血を吸った

(出典不明のため、藤本一子著 『シューマン』より引用)

不気味な内容の詩が付与されているにもかかわらず夜暗い部屋でヘルムヒェンの演奏を聴くと、
魂が共鳴する。5番目の親しみのある風景に入るとピンと張りつめていた心がほぐれて和らいでゆく。



ドイツの深い森・・・を訪れるのは当分難しいので、
次は近くの森の中で聴いてみようかな。


ここで試聴できます。
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