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大団円 [音楽]

結局のところ私はハッピーエンディング的な気分にさせてくれる曲が好きなのだと思う。
いろいろあってウジウジしてウツウツしてもうだめだ〜と沈んでしまっても、希望の光が見える曲が。

時々無性に聴きたくなるシューマンの交響曲第4番。

指揮者の金聖響さんによると、
4番はピアノ曲が好きな人にはおすすめなのだそうだ。
「シューマンの交響曲は管弦楽化されたピアノ作品で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタはピアノのための交響曲」という言葉があるそうで*1、ピアノ的な響きを体感できるのがこの4番とのこと。
確かに、最終楽章のヴァイオリンのトゥッティ部分には交響的練習曲のフィナーレと同じような印象があり何とも魅力的だ。

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本曲は第4番とはあるものの、第1番の後、1841年に作曲されてお披露目されるも受けが悪く放置された。第3番のラインを作曲したのち、10年の歳月を経て1851年に改訂され、シューマン自身の指揮により晴れて世に出た曲である。通常の交響曲とは異なり、すべての楽章を続けて演奏するように指示がある。その名も交響的幻想曲。混沌としたシューマン先生の心の内がそのまま再現されているようなイメージが湧いてくる。


Cleveland Orchestraの13/14シーズンに客演したドホ先生による演奏会が現在オンデマンドで配信中(7/6まで)。ライヴ放送を聴き、録音したその放送を聴き、さらにまたまたオンデマンドでも聴いている。1980年代にデッカに録音したCDも先ごろ再販されたので購入してやはり聴いている。

他の演奏をほとんど聴いたことがないので比較は難しいのだが、ドホナーニさんの解釈はスーパーオーケストラの力量も相俟って大変分かりやすい。最初聴いた時、すっと音楽が頭に入ってきてなおかつ曲の虜になってしまった。
爽快でキビキビとしたテンポで進んでゆくのだが、不思議とせかせかした印象は受けない。エモーショナルになりすぎずバランス、テンポともに非の打ち所がない解釈だ。冴え冴えとした響き、色彩感、推進力。どこを切り取っても完璧な演奏なのである。私にはドホナーニさんとTCOの奏でる音楽の呼吸が生理的にフィットするのだろう。シューマンの交響曲が苦手な人には是非お勧めしたい最初の1枚だ。



*1 フェルッチ・ブゾーニの言葉とされる

参考資料
金聖響+玉木正之 『ロマン派の交響曲』
The Cleveland Orchestra Program Note (Week 14)
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