SSブログ

深沈厚重なシューマン [音楽]

遅めのテンポで正しく拍をとりなおかつべたっとならないように演奏するのは至難の業であります。
箏の先生から常々、練習するときはテンポを落として!しっかり拍を意識して!と言われるのですがいつもあっぷあっぷしています。もっさりしそうになるし、息切れしそうになるし。そういえば、ドイツのヴァイオリニスト、フランク・ペーター・ツィンマーマンさんも最近はゆっくりなテンポで練習することを心がけているそうですね。去年のN響定期のインタビューでお話されていました。細部にわたるまで確認するには速く弾いては効果がないそうでして。


シューマンのピアノ協奏曲というと、ほとばしる感情の嵐のような曲でありますので、お若いピアニストさんは速いテンポで駆け抜けるように弾くことが多いです。もちろんそういう解釈も魅力的ですが、私はクラウディオ・アラウの悠然としたシューマンを愛でております。


アラウはシューマンの協奏曲を5回録音しているそうなのですが、私が知っているのは以下の3つ。
そのうち頻繁に聴くのは1と2です。60歳前後ですからピアニストとして円熟期を迎えた時期の演奏と言えるでしょう。

1. アルチェア・ガリエラ指揮、フィルハーモニア管弦楽団 (1957年)
2. クリストフ・フォン・ドホナーニ指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 (1963年)
3. コリン・デイヴィス指揮、ボストン交響楽団 (1980年)

IMG_2667.JPG

(ちょっとジャケットが。。)

実はシューマンのピアノ協奏曲で初めてアラウの演奏を聴きました。ピアノのタッチ、フレージング、アーティキュレーション、独特のアクセントと間合い、すべてが新鮮で理想的でした。

勢いで聴かせるのではなくて、要所要所で立ち止まる瞬間というものがアラウのシューマンにはあるのですね。この間合い、音符と音符の間が、何とも言えず実に素晴らしいのです。時間にしてほんの数秒なのかもしれないのですが、一種のスパイスのような感じです。

全体を通してかなり遅いテンポにも関わらず、メリハリをきかせながらしっとりと歌い上げるので重たい感じがしないのですね。伴奏も弛緩することなくピアノに寄り添っていて完璧です。一音一音噛み締めるように進んでいく泰然とした演奏。ここまで温もりのある抒情性に満ち溢れたシューマンのピアノ協奏曲を未だに聴いたことがありません。




ちなみにドホナーニさんとロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が伴奏をしたCDが今月末に再販されます。ドホ先生の再販ラッシュの一環でしょう。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

Grenzenloses Vertrau..行書のラヴェル ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。