SSブログ

Mahler マーラー [洋画]

IMG_3324.JPG



マーラー (1974年、イギリス、ケン・ラッセル監督)

グスタフ・マーラー - ロバート・パウエル
アルマ・マーラー - ジョージナ・ヘイル
べルハント・マーラー- リー・モンタギュー


ケン・ラッセル監督のマーラーを観た。
奇天烈なシーンは多いのだけれどそれはご愛嬌。マーラーとアルマを巡る良質の伝記映画あるいは恋愛映画として最高の部類に入る名作だ。
個人的に今マーラーの6番がブームのせいか、クライマックスで6番の第1楽章、第2主題(アルマを表す)をバックにマーラーとアルマが愛を確かめるシーンでは、まるで水戸黄門の印籠を出されような気分になってしまった。待ってましたと言わんばかり(^^: 


「僕の音楽がある限り、僕らの愛は生きる」という何とも粋なマーラーの台詞に陶然とならざるを得ない。マーラーよりアルマ役の俳優さんの方が年上なので史実とはちがう配役なのだけれど、このシーンを観るたびに、実際の2人はこういう関係だったのだと信じたくなるのだ。その後の悲痛な事実を知っているからこそなおさらなのかもしれない。


物語はアメリカでの演奏会より帰国し、ウィーンへと向かう列車の中から始まる。
回想シーンとマーラーの夢の中を視覚化したファンタジーシーンを織り交ぜながら、大作曲家の生涯を具に描いていく構成である。


回想シーンで印象的だったのは、幼少期とアルマが自分の曲を土の中に埋める場面だ。

子沢山のユダヤ人家庭で生まれ育ったマーラーの少年時代は、幸福とはかけ離れていたようだ。好色で暴力的な父親と一家を支える憔悴しきった母親の姿。こんな毒親の親父さんのもとにいたら精神が蝕まれてもおかしくないだろうなぁと、思わず同情してしまった。


マーラーがアルマに作曲を禁じる場面はアルマの心情がひしひしと伝わってくる演出、映像だった。
アルマの歌曲をマーラーが伴奏し、傍らにいる歌手が歌う。歌い終わった後、アルマは自分の曲を見てくれたことにお礼を言うのだけれど、マーラーは彼女の曲など眼中になく、さっさと止めろと言わんばかりの示唆的な態度を取る。傷心のアルマは譜面を箱にしまって、森の中に埋めてしまう。前作のように台詞でつらつらと説明するよりも遥かに説得力のあるシーンだった。


劇中の演奏はハイティンク指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団。
音楽にすべてを語らせるタイプのハイティンクの指揮のもと、マーラーの曲を堪能できる点もお奨め。






タグ:Mahler
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

Mahler auf der Couch..A journey through th.. ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。