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清々しい高揚感 [音楽]

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グスタフ・マーラー  交響曲第3番
指揮 フランツ・ヴェルザー=メスト
演奏 クリーヴランドオーケストラ
アルト独唱 ケリー・オコナー
(10/1のライヴ録音。オンデマンドで11/30まで。)


マーラーの交響曲第3番に目覚めるきっかけは、3年前の12/13シーズンオープニングコンサートのライヴ放送だ。馴染みのない長大な曲だから一応予習しておこうとCDを幾つか手に取ってみたのだが、今ひとつピンとこなかった。多分退屈するだろうなあと思ってラジオを聴き始めたところ、瞬く間にヴェルザー=メストの解釈に釘付けになってしまったのだ。旋律の処理の仕方に驚いたと同時に、妙に腹落ちしたのを今でもよく覚えている。予習のCDではその良さが掴めなかったのに、ちょうど先シーズンのマーラー6番のように、放送が終わると同時にしばらく何もきけず、マーラーのメロディが頭から離れなかった。


今回もその解釈は同じだ。ヴェルザー=メストの手にかかると、眠っていた音符たちが目を覚まし活き活きと輝き始めるかの如く、瑞々しいサウンドが次々と紡ぎ出される。旋律の歌わせ方が細やかで、なおかつ情熱的なのだ。疾走感溢れる音楽性は天性のものだなあ、と聴くたびに思う。例えば第1楽章。金管と低弦による重々しいセクションが終わったあと、オーボエの快活なメロディが聞こえてくる。チャーミングな木管とこの上なく艶やかなヴァイオリンソロ。すべての楽器が優雅に歌っている。コンサートマスターとホルンソロがメロディを奏でる中間部がとりわけ好きだ。ウィーン風の軽快で陽気な歌い回しが実に素晴らしい。録音なのにライヴを聴いた時のような感覚。清々しい高揚感を与えてくれるのだ。


3年ぶりに聴けて本当に嬉しかった。批評も肯定的なものが多く、とりわけクリーヴランドのTimothy Robson氏は、"The rest of the audience seemed to be as riveted by Franz Welser-Möst’s interpretation as I was;"、と評していた。ブルックナー、ブラームスの次はマーラーを録音してほしいな。


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T.D

初めまして。

私もWelser-Mostファンです。
他の指揮者のように派手さはないけれど、本当に魅力的な演奏をされる方ですよね。

ブラームスチクルスの映像も楽しみにしているところです。

またブログ拝見させていただきます。

by T.D (2015-12-24 09:55) 

menagerie_26

T.D様

こんにちは。

ヴェルザー=メスト、透明感を持って旋律を豊かに歌わせることにおいては、当代随一だと思っております。本当に魅力的ですね。

今回のブラームスのレコ―ディングは、ヴェルザー=メストとオーケストラがこの13年で培った音楽そのものだと思います。ドイツのアマゾン経由で取り寄せ、一足先に視聴しました。演奏は言うまでもなく、ビデオワークから特典に至るまで素晴らしいディスクです。どうぞ楽しみになさってください。
by menagerie_26 (2015-12-25 09:18) 

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