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レオノーレ序曲第3番 [音楽]

"Music can say something which goes beyond what we call reality." said Franz Welser-Möst in the 2015 Nobel Concert (Stockholm konserthus).
「音楽は現実を超越したものを伝えることができるのです。」フランツ・ヴェルザー=メスト、2015年ノーベル賞コンサートにて。


今年はヴェルザー=メストが指揮するレオノーレ序曲第3番をほんとうによく聴いた。
気がつけばエアチェックした音源は6種類にも上っている。
1. ウィーンフィル北欧ツアー コペンハーゲン
2. ウィーンフィル北欧ツアー ヘルシンキ ☆☆☆☆☆
3. ザルツブルク音楽祭 プレミエ
4. ザルツブルク音楽祭  8/13収録分
5. クリーヴランド Violins of Hope Cleveland
6. ミラノスカラ座 クリスマスコンサート
オーケストラは違えども、演奏のコンセプトはほとんど変わらない。ウィーンフィル、クリーヴランド、スカラ座管弦楽団、それぞれの特色がよく表れた演奏を堪能できた。


ザルツブルク音楽祭。普段は冷静沈着なフランツ先生ですが、ここではびっくりするほど熱い。白熱の演奏。



一体感が群を抜いているクリーヴランド。演奏会の趣旨上、厳かな雰囲気が漂う。



先日のスカラ座。音質、画像ともあまり良くないけれども、雰囲気は十分に伝わってくる。金管の音色が印象的。



ベートーヴェンの唯一のオペラ、『フィデリオ』は水戸黄門よろしくの勧善懲悪の世界だ。無実の罪で囚われた夫フロレスタンを救出するために、妻のレオノーレが男装してフィデリオと名乗り、果敢に立ち向かい、夫を救出してハッピーエンドで終わる。夫婦愛を讃えたやや単調なストーリーではあるが、ベートーヴェンの雄弁な音楽が圧倒的な存在感を放つ。その中でもレオノーレ序曲第3番は格別だ。どのような環境(=現実世界)に置かれていても、それを超越して高みへと誘う力がこの曲にはある。聴き終わったあとの爽快感、開放感が実にいい。ヴェルザー=メストは、トレードマークである透明感と推進力のある音楽作りをベースに、毅然とした凛々しい旋律を緊迫感を持って伝えていた。レオノーレ序曲第3番を通して、フランツ先生の内に秘めた激しい感情を垣間見た気もする。


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コメント 2

T.D

とても興味深い聴きくらべでした。感謝です。

ミラノのレオノーレは初めて聴きました。クリーヴランドとは対極の音色を持つオーケストラなのかなと、感じます。切れ味鋭く透き通った音色がクリーヴランドの印象です。ヴェルザー=メストが鍛えたオーケストラですから、レオノーレでも息がぴったり、相性抜群ですね。良い意味で、硬派。
どれも素晴らしいですが、私は3つの映像のうちザルツブルグが一番好みです。ヴェルザー=メストの本調子が出ているように思いました。まさに、冷静と情熱の間にある演奏。颯爽と勇敢に駆けていく様が、旋律に力を与えているようです。

ヘルシンキに☆印があるのは、Menageriesさんのお気に入りでしょうか。ぜひ聴いてみたいものです。長々と失礼しました。
by T.D (2015-12-28 22:10) 

menagerie_26

T.D様

お楽しみいただけて何よりです。
客演が徐々に増えているスカラ座との演奏は、今もっとも関心があります。ウィーンともクリーヴランドとも違う独特の音色でしたね。

ヘルシンキ公演は、その泰然とした趣と推進力、どこを切り取っても完璧でした。再放送を期待しております。


by menagerie_26 (2015-12-29 09:49) 

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